
まだ付き合って間もない頃、
夏休みに初めて旅した沖縄。
美ら海に行った帰りだったと思う。
海岸沿いの道路から山にかかる虹が見えた。
2つの虹だった。
今年のGWに、疎開していた妻と子供に会いに、
沖縄へ行った時、二回めの美ら海に行った。
今回は娘っこを連れて。
また違った楽しみ方がある。
案の定、一歳の娘は巨大な水槽と魚に興奮していた。
那覇空港内にある水槽でさえ、
食いついて、ずっと離れなかったほどだから、なおさらだ。
楽しんだその帰り道、
見覚えのある海岸沿いの道を通った時、
あの虹を思い出した。
すっかり忘れていたけど、
すぅっと、あの時のシーンが頭に広がって、胸がきゅんとなった。
身体が憶えていた。
妻も同時に思い出していたようで、
口にしていた。
虹は出ていなかったけど、たくさんの条件が揃えば、自然と身体の中の引き出しが開くようだ。
震災は決して喜べないものだけど、
いろいろ忘れていたことを
もういちど考える機会を与えてくれていると思う。
何が豊かで、何が大切なのかを。
それにしても、あの時見た虹を思い出した時、今の事態や不安、恐れといった全てのマイナスを一時的に忘れることができて、とても豊かな気持ちになった。
まだまだ危機的な状態が続いているけど、一瞬でも頭から離すことは大事なことだと思った。
特に被災された方には。
きっと長期戦になるからだ。
それにしても、もしかしたら、記憶は場所に残るものなのかもしれないなと、ふと思った。